ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年7月17日月曜日

ローレンス・ブロック『暗闇にひと突き』

  • ローレンス・ブロック "暗闇にひと突き", 田口俊樹 訳, ハヤカワ文庫, 1990, 1993, ISBN4-15-077452-8, (Lawrence Block "A Stab in the Dark", 1981)

スカダー・シリーズ第四作.九年前に突然起こったアイス・ピック連続刺殺殺人.ひょんなことから捕まった犯人は,そのうちの一件を頑強に否定する.その被害者バーバラ・エッティンガーの父親チャールズ・ロンドンが今回の依頼者.過去への遡行である.

答えは宙に浮いていた.手を伸ばせば届きそうだった.が,私はそれをつかみきれなかった.

彼が言った.「おれの女房は眼が見えないんだよ」

[ ローレンス・ブロック『暗闇にひと突き』, p. 268. より ]

掘り返さない方が佳かったのか.いやぁ,それではバーバラが浮かばれないのは確かだ.しかし,掘り起こされた過去は.バーバラを殺害した犯人は意外性には欠けるけど,その人間像はなかなか印象的だったと思う.こういう犯人像を作り出すことができたら,ハードボイルドとしては成功作の部類に入るんじゃないか? 読み終わって,カルペンティエールの『失われた足跡』を思い出した.同じ訳者なのに,ハヤカワになると何故か数段面白く感じる.トップ三作 (の原書) がほぼ半年間に続けざまに出されたのに対し,この作品には四年ほど間が空いてるのが理由の一つかな〜.

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