ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年7月24日月曜日

ローレンス・ブロック『慈悲深い死』

  • ローレンス・ブロック "慈悲深い死", 田口俊樹 訳, 二見文庫, 1990, 1994, ISBN4-576-90098-6, (Lawrence Block "Out of the Cutting Edge", 1989)

岸田文庫のスカダー・シリーズ,一つ飛んで第七作.アル中便宜屋スカダー禁酒中.今回の依頼者はインディアナ州はマンシーで日本車スバルのディーラーをしている真面目なウォーレン・ホールトキ氏.ニューヨークで消息を絶った娘の捜索依頼.珍しい名前だと思ったら原語のスペルが出て来て, Hoeldtke と綴るそうである.元はドイツ系なのか, Höeldtke と書いてホルトケとか読ますんじゃないか,モルトケ将軍みたいに.

スカダーの行くところ,死体が散乱する.死神スカダー.

彼の人生は取るに足らぬものだった.彼の死も取るに足りないものだ.しかし,彼はこの一年,一日一日なんとか素面でいようと努力した.最初のうちはなかなかうまくいかなかった.いや,最後まで彼にとって素面でいることは楽なことじゃなかった.でも,彼は素面でいつづけた.なるほど彼の人生は負け犬の人生だった.しかしそれでも,素面でいることだけは最後までやり遂げられたのかどうか,私はそれが知りたいんだよ.

[ ローレンス・ブロック『慈悲深い死』, p. 212. より ]

読者 (少なくともおれ) にとっては唐突だったエディの死も,依頼内容であるポーラの消息も,スカダーが関わった故と思えなくもない (笑).ポーラの件は,スカダーが結果的に知り得た結末と,彼がホールトキ夫妻に報告する内容とはかなりの違いがある.そこがスカダーの優しさであり,甘さ故でもあるのだが.昔,確か "Cutting Edge" という名のバンドがあったと思うけど,これには「最先端」という意味があるそうな.今回のお話と関係があるんかどうかは知らんが.

『暗闇にひと突き』辺りから,個性的で印象に残る犯人や脇役が出て来ているが,今回は肉屋のミッキー・バルーバーがそれ.「蓄殺屋」とも呼ばれてるそうだが,もともとあちらでは「肉屋」という職業には蔑視線が込められているようなので,二重に貶められていることになるんか.一筋縄では行かない腹黒さや街の顔役的意味付与もなされながらも印象的な役どころではある.

岸田文庫から借り出したスカダー・シリーズはこれで最後.次からは泥棒探偵バーニイのシリーズが数冊控えている.

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