ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年5月1日土曜日

フィリップ・ターナー『シー・ペリル号の冒険』

  • フィリップ・ターナー "シー・ペリル号の冒険", 神宮輝夫 訳, 岩波書店, 1976, 1996, ISBN4-00-110688-4, (Philip Turner "Sea Peril", 1966)

 『シェパートン大佐の時計』,『ハイ・フォースの地主屋敷』に続く第三作.前 2 書を読んだのは遥か彼方の出来事ですでにあらかた記憶から抜け落ちて入るが,純正リアル路線の活劇だったのは覚えている.この本はそれから時間的にかなり隔たった 1996 年に復刊されたものを,たぶん 1997 年の 2 月以降にたまたま広島市安佐南区のフタバ Mega で見掛けて入手したもの.ずっと寝かせていたがやっと読了.しかし,未読本が減るのは寂しいものだ.

 物語は一貫してデイビド,アーサー,ピーターという三人の少年たちの冒険譚というか,まぁ,アクションものみたいなものだ.『シェパートン大佐の時計』では表紙のとおり文字通り子どもだったが,本作では高校生に相当するらしく,地に足が付いてきた.アクションとは言ってもリアル路線なので,お子どもさまが宇宙で殺しあったり,奇ッ怪なスーツで戦闘に励むこともないし,ましてや剣と魔法がどうのとか,「世界をどうとか」なんてことはない.できないものはできないし,悪漢退治には大人の権力を借りるし,階級の壁に悩むし,ちゃんと共同体の一員として機能している.いや,すんません,アンリアルなものも好きですが (笑).

 今回はピーターが平底船を改造して人力外輪船を組み立てて河を上るという計画に,ガリア戦記時代のローマ人の遺跡の発見というネタを眩してある.主な舞台が河川上である上に,例によって粗暴な操縦のモーター付きビスケット缶とか絡んでくるんで,おのずとアーサー・ランサムの『オオバン・クラブの無法者』に似たシーンがちらほら.<白い悪魔>号の眼を盗んで早朝出航するシーンなんざ『シロクマ号となぞの鳥』のシーンを思い出しちまったぜ.妙に深刻ぶることもなく,変に考え込ませるような落とし穴もなく物語はストレートに大団円を迎えるので,読後感はすっきり爽快.

 p. 307 の柱に誤植が.ここだけ「16 マーカスの塔とシーペ・リル二号」になってる.

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