ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年5月21日金曜日

"Blow-up" 『欲望』

 ミケランジェロ・アントニオーニ監督の 1966 年の英伊合作映画.翌年のカンヌでパルムドールを受賞しているということは かなり評価された ということなんだけど.なんと音楽がハービー・ハンコックで,かなりびっくり.原作がコルタサルだというのにも今さらながら驚いた.ただし原作のタイトルは『悪魔の涎』というらしく,手持ちの『遊戯の終り』国書刊行会, 1977 には入ってなかった.訳本は岩波文庫版があるらしい.キャストではジェーン・バーキンが出てるそうだが,主人公のところに押し掛けてくる厨房の金髪の方らしいってか,ぜんぜん判りませんでした.別にいいけど.んでもって,主人公の職業は「カメラマン」ではなくて「フォトグラファ」なんだそうで,アトリエに散らばってるオブジェがポップ.

  40 年近く前の映像なんで,もうくらくらするぐらいキッチュというかなんというか.往年のファッション・センスのサイケデリックなパワーには圧倒されますって,笑うしかないな,これは.ストーリーはもうあってないようなもんで,こっちの世界にいる主人公の写真家が,映画の最初と最後に登場する白塗り軍団が象徴するあっちの世界へ行ってしまわれたというもの.映画の半分ぐらいまで動かないんだけど,公園で撮った写真に死体が写っているのを発見する辺りからじわじわ動き出してくる.んだが,これがサスペンスを解決する方向ではなくて,とりあえず餌として鼻先に吊るしておいて,不条理方面というか,ワケワカ方面に突入 (笑).途中のドラッグ・パーティは置いといて,ラストの見えないテニス・ボールを拾い上げて,テニスに興じている白塗り軍団に投げ返す辺りが圧巻.さすがに有名になるだけのインパクトはあるわ.パントマイムは上手いとは思わんけど.パントマイム・テニスからずっと無音なんだが,投げ返したあとラケットがボールを打つ音がだんだんと聴こえてくるという演出が佳い.最後に主人公を斜め上からロングて撮ってるんだが,そのうち主人公は画面から消えて,ほんとにあちらへ行ってしまう.もしかしたらドン・ジョヴァンニの地獄落ちなんかね.ドラッグ・パーティでライヴの客が妙に静かなんで,これサバトのつもりなのかも.となるとベックが観客に投げ込んだのはパンということになりますな.投げ込んだパン目掛けて客が殺到,阿鼻叫喚だし.

 で,問題のドラッグ・パーティ (笑).ここではスタジオ生ライヴをやってるんだけど,そのバンドがなんと Yardbirds なんですわ.いや,なんかおれ勘違いしていたみたいで,これ Pink Floyd が出てるまたは音楽が使われてると思い込んでいたんだけど,ぜんぜん違うじゃん.『モア』でしたな,そっちは.アントニオーニ監督絡みだと『砂丘 : Zabriskie Point』だ.で Yardbirds なんだけど,これがベック & ペイジ双頭時代なんだよね.いやぁ,エエもん観せてもらいました.曲は "Stroll On" で,サンハウスを思い出したのはナイショ.ベースがドレヤ,タイコがマカーティ,ヴォーカルがレルフの 5 人編成.キース・レルフ可愛い.ペイジは例によってクリーム・ホワイトのテレキャス.ベックの方は (たぶん) Gibson のセミアコ.ただし,カッタウェイはない.なんかテープ (エコー・チェンバーかも知れん) 使ったディレイかなんかやろうとしててそのマシンが具合悪くてノイズがバリバリ.調整不能でキれたベックがギターを積み上げた Vox のアンプにガシガシ叩き付けて壊し,ネックを客席に放り投げるというのが面白い.この頃のベック & ペイジって 21〜22 歳ぐらい.若いねぇ.そだような〜,まだ Beatles 全盛時というか『ペパー軍曹』出る前だもんな〜.

 ググってみたら サントラを紹介してるページ を発見.ま,ほとんどがハンコックの曲で 1 曲だけ Yardbirds というのがオリジナルのアナログの構成だったみたいだが, CD 化に際してボーナス・トラックが 4 曲,うち 2 曲が Tomorrow だと. Tomorrow って Steve Howe が Yes に入る前に居たバンドだよな.主人公を演じた David Hemmings が Michelangelo Antonioni 監督に進言したが,けっきょく使われなかった由.へぇ〜.

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