ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年11月15日月曜日

トップをねらえ! (全 6 話)

例によって予備知識なし.というか,名前は聞いたことあるし有名な作品らしいんだけど.なんか勘違いしてたような……

西暦2015年。白鳥座宙域で航行中、「るくしおん」艦隊が、謎の宇宙怪獣の襲来により全滅。15年後、謎の宇宙怪獣の襲来に備え、沖縄に設立された宇宙パイロット養成学校「沖縄女子宇宙高等学校」の生徒の中に「るくしおん」艦長の娘、タカヤノリコの姿があった。父のような宇宙パイロットになりたいと、鬼コーチ、オオタコウイチロウのもと、トップパイロットを目指す。

[ キッズステーション: トップをねらえ! より ]

この番組案内から,どうして「おや,『ふたつのスピカ』みたいなもんかな」と思ったのだろう.われながら情けない (笑).ともあれ,そういう誤解の元で全 6 話一挙放送があったんで録ってみて一気観. 1988 〜 9 年の OVA 作品.トップをねらえ! 公式.さすがに絵は古くさく,画面も揺れてるが……

#01 ショック! 私とお姉様がパイロット!?

#02 不適! 天才少女の挑戦!!

#03 初めてのときめき☆初めての出撃

#04 発進!! 未完の最終兵器!

全 6 話だが,大きく二部 (または三部) 構成になってるようで,ここまでがいわば第一部.地球時間で 2022 年.開始早々,いきなり巨大ロボの集団が組体操やらやってるんで,「あちゃ〜,こりゃ大失敗か」と落胆したのだが,気を取り直して観続けてみたら,いやぁ,嫉まれているが果敢に頑張る主人公,んでパートナーとしての「おねえさま」が出てきた辺りで爆笑.そのうち主人公の隠れた素質を見抜く「鬼コーチ」やら無駄に無意味に無闇と「熱血のライバル」とか出てきて,こりゃ〜,『細腕繁盛記』,コテコテだよ〜.花登筺かぃ.うひゃぁ,まじめにバカやってる. OP/ED を歌うは酒井法子ことノリピー,アレンジは船山基紀という懐かしい名前.

だいたい,「おねえさま」と「鬼コーチ」はクレジットからして名前が出てこない.本編中ではそれぞれ「アマノ カズミ」,「オオタ コウイチロウ」という名前を与えられているんだけどな.主人公の名前も「タカヤ ノリコ」で,頭とケツを採ると「タコ」だ.つまり タコと大タコと名無しの話*1 なのである (笑).「おねえさま」の名前がアナグラムだとすると,「アズマノカミ」とか「アカズノマミ」とか並べ替えられるが,まぁ関係ないだろうから無視々々.第二話で登場する香貫花クランシー似の「宿命のライバル」は「ユング・フロイト」.英語読みとドイツ語読みがごっちゃだ.しかもフロイトのスペルは Froid になっちょる.実にエエ加減でサイコー (笑).で,そのツレの名前は「リンダ ヤマモト」,敵の名称はもはや考えるのが面倒になったのか「宇宙怪獣」.いやはや,まことにもって帆立貝.海王星付近を航行中の練習船の副艦長が「ニシジマ カツヒコ」,候補生の中に「シド・ビィシャス」と「モリヤマ・ユウジ」.遊んどるのぉ〜.音楽もホルストの『火星』似だ.

12 秒遅れが 6 ヶ月のズレか.なるほど.この時間軸が一つではないというのが第二部では大きくフィーチャされるわけで,もちろん見せるという目的のために取捨選択してはいるが,まじめに考えた上でまじめにバカやってる.だからオモロい.

第三話の「これまでのあらすじ」って,あらすじになってないのがなんともはや.しかも裏で流れてるのは,艦内隠し芸大会のカラオケ・デュエット (笑).この頃はデプリという概念はあったんかな.人類の行くところ,至る所にデブリを撒き散らす.宇宙のウンコ垂れだ.糞虫と呼ばれても反論できまいて (この件は第四話の avant でも触れられている).お,原画マンの中に岸田隆宏さんの名前発見.第四話で「おねえさま」が太宰の『人間失格』を読んでいるのが,なんとも可笑しい.

第四話で「宇宙怪獣」と接触,未完のガンバスターでこれを倒すのだが,盛り上がり具合や ED クレジットがスクロールしてるのもあり,ここで一段落付いた気分になる.ここまででおよそ 103 分,ちょうど劇場版一本分の時間に相当する.

#05 お願い!! 愛に時間を!

第二部 (前半).地球時間で 2032 年.なんかいきなり雰囲気違います (笑).同期は精神も身体も 27 歳.主役 3 名の時間は 1 年経っていない.主人公ノリコの階級は中尉.さすがに昇進が早い.「鬼コーチ」は中佐.しかも不治 (?) の病付き.労咳ですか.第四話までグラサンを取らなかったのは隻眼故か.「おねえさま」は不明だが,中尉か大尉か. B パートで判るが大尉だった.

2032 年には新幹線で那覇まで行けるんか.しかも長崎新幹線まで開通しているらしい.超特急ウルトラひかり号には,まだ車内販売があるらしいが,岡山名物で吉備団子は判るが紅葉饅頭は広島だろう.現在では岡山—広島は一時間ぐらい掛かるはずだが,この頃はもっと短縮されているということか.しかし,テレカもまだ売っているとは.お,宇宙基地は富士の裾野か.なるほど,海上基地じゃないのか.

今回は「宿命のライバル」と「鬼コーチ」は地球組.ノリコと「おねえさま」だけ時間軸が異なる.しかも「鬼コーチ」余命半年.えと,今回の作戦計画は,第四話で活躍した艦ヱクセリヲンを敵陣中心部に突入させて縮退炉を人工ブラックホール化云々.小型とはいえ,そんな近傍に拵えたら太陽系もただでは済まないと思うんだが (笑).

「おねえさま」狂乱 -> ノリコの鎮圧.ここいちばんの見せ場でせう.その後の戦闘シーンも笑える.わはは,マントでシールドだ.やっぱ,これもギャグだわ (笑).んで,どんぐらい経ったのか知らんけど,帰ってきたらお約束通り「鬼コーチ」入院中とはいえ生きてるし.というわけで, ED もクレジットなしで次へ.そういや OP もなかった.

#06 果てしなき、流れのはてに…

第二部後半 (第三部) の最終話はいきなり 15 年後の 2048 年.画面もモノクロで上下を切って映画風にしてある.エンディングの途中までこのサイズをキープ.「鬼コーチ」は 2033 年 12 月 19 日に物故.オオタ中佐こと「おねえさま」とタカヤ中尉の最後の出撃.「おねえさま」は「鬼コーチ」と結婚して沖女の教官に就任していたらしい.今回の作戦は,前回で味をしめたかブラックホール爆弾で「宇宙怪獣」の巣ごと銀河系の中心部を飲み込むとか.うへぇ (笑).旗艦艦ヱルトリウムが率いる実行部隊の名前は「銀河中心殴り込み艦隊」だって (笑).仁侠映画の特攻モノかよ,をい.タシロ艦長によると,地球脱出も諦めたそうだから,いよいよ最後の聖戦だ.

で,出撃する二人だが,第五話以後の時間の経過はノリコが半年,「おねえさま」が 15 年.かたや 18 歳,かたや 30 代前半か. 15 年といえばヒトなら二回脱皮して一年後にあたるわけで,少なくともノリコにとっての「おねえさま」はすでに別人状態であるはずだが.長かった髪も切ってショートになった「おねえさま」,外見は変わったが弱みも見せなくなった.戦闘シーンは線画だ.庵野監督好きだね,こういうの.えと,音楽はマーラーの第 1 番第 4 楽章の金管群が唸りを上げる長調のコラール主題か.つまりは,勝ち戦になるってことね.

殴り込んだ艦隊だが,爆弾不発 (笑).そりゃそうだ.二人はまだ活躍していない.ノリコは特攻志願,「おねえさま」も続く.名目は「二機で乗り込めば一機は縮退用に使用しても残る一機で帰艦可能」.うまく考えましたね.「宿命のライバル」も参加してくるが,二人は理由を付けて (伝達事項を与えて) 追っ払う.うん,邪魔だよな.以後は通信も不能になるので百合時間となる.「おねえさまの命,わたしに預けて」.むほほほほ,やっぱ仁侠だね.燃えます.縮退炉が作動するが,二人の離脱は間に合わない.まさに爆弾二勇士.合掌.

と,思うだろ,ふつう.だが「一万二千年後」ってテロップが入るんよ.バスターマシンの残骸が出てくるんよ.生きてるんよ,二人とも. 14292 年 7 月 6 日.んで,地球かどうか判らんけど,星の表面に「オカエリナサイ (イは左右反転)」の光の文字.二人がバスターマシンから離脱して,その光文字を目指して飛んでいくところからカラーになり, ED クレジットが始まる.光文字が暗転すると星の全景.このとき画面も 4:3 になる.そして「完」.

ガンバスター機体内時計で一万二千年経っているのになぜ二人とも生きてるのかは疑問だが, 1) 冬眠状態に入っていた. 2) テロップで出るのは地球時間であり,機体内時計が指していたのも実は地球時間だったとか,いろいろ考えられるが,まぁエエや.ただ,一万二千年という数字には意味がないわけでもなさそうで,現在からちょうど一万数千年前に, 6 万年ほど続いた最近の氷河期であるヴュルム氷期が終わっている.日本では縄文文化が出現する頃だ.ぐらいかな.半年: 15 年, 12 秒 : 6 ヶ月.いずれを取っても,弥勒説は成り立たないようだ (笑).まぁ,そんなことをグダグダ考えんで,素直に感動すればよろしい.音楽もそう言っている (笑).時間ネタに弱いワタシには,素直に面白いといえる最終話.この 2 話でだいたい 1 時間弱.劇場版にしては短いけど,「鬼コーチ」と「おねえさま」が地上で甘い生活を繰り広げている間にノリコと「宿命のライバル」がどがちゃかやってるのを 30 分弱ほど入れれば 90 分になる……かな? と思ったが,「鬼コーチ」と「おねえさま」の新婚生活は最長でも二年弱しか続かなかったらしいな.お涙頂戴になるか知れん.

一ヶ月ほど前に 4 枚組の リマスター版 もリリースされているようで,お盛んなようですな.お値段も 2/3 ほど.そこの特典映像に示されている「新科学講座」というのは,今回は放送されていない. FLCL もリマスター & 5.1ch 対応せんかね.

結論:露骨に笑いを取りに行ったり泣かせもあったり緩急自在.なんか,香港ギャグ映画みたいなノリがあっておもろい.正直一回観れば充分という気もするし,放送画質が佳くない上に 160 分以上あるので 2/3 D1 の最低レートだが,とりあえず保存 (笑).

更に追記:2004.11.18

*1: 070-アーステイル-呼出し中: 「トップをねらえ!」人物名で思い出した。 にて捕捉されたです.いつもありがとうございます.下らんヨタ飛ばしてすみません.謹んで追記するです.というわけで,典拠が存在する.拝読すべし.

書いてないけど,実在の「のりこ」が二人いるのには気付いてました.んでもメインが 3P だし,実在の人物よりも頭足類軟体動物と人間とのぐちゃぐちゃぬとぬとした絡み合いというかくんずほぐれつというか,まぁ,そういった「以吾身陽元,合汝身之陰元」の方が絵的にステキだと思いましたです (笑).

更に追記:2004.11.28

Sonus Faber GPH や Linn を買ったときにいろいろアドバイスをいただいた N 師匠 から参考情報をいただく.

> そのうち主人公の隠れた素質を見抜く「鬼コーチ」やら無駄に無意味に無闇と「熱血のライバル」

えっと、大映テレビドラマの「スチュワーデス物語」のパロだと制作当時は言っていました。

> 小型とはいえ,そんな近傍に拵えたら太陽系もただでは済まないと思うんだが (笑).

そのとおりで、第6話の最初で地球が荒廃しまくっている描写があります。

> 2) テロップで出るのは地球時間であり,機体内時計が指していたのも実は地球時間だった

当然、こちらでしょう。ブラックホールの事象の地平線近傍では時間の進み方が極端に遅くなります。だから、地球に戻るころにはこんなに時間が経過しちゃったのですねぇ。

いちばん驚いてるのが,師匠もこれを観てることだったりして (笑).

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