ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年1月6日金曜日

蟲師 #09 重い実

  • 蟲師 OP CDS / 蟲師 DVD 1a (台詞あり 15 秒)
  • 蟲師 DVD 1b (台詞なし 15 秒)

「おれはな,やはり見届けたい.この土地がこの先どうなって行くのかを.おれがしてきたことが正しかったのかどうかを」 © 祭主.蘇生前後に渡ってこの台詞を言わせるのには,ちょっと感動したかも (笑).

「別れ作」と呼ばれる酷い天災のたびに豊作を恵む奇蹟の代償に,「一人連れて行く」.なんかブラックウッドでも書きそうな話だな.代償が必要な楽園という意味なら,カウスリップの村もあてはまるかも.

(字未詳だが読みは,ナラズの実)
光脈を封じ込めたもの.蟲は微弱なものほど根源たる光酒に近いが故に光りを帯びる.光脈とは光酒の流れる筋.いわば生命そのもの.操作できれば不死や蘇生如何様にも使い道はある.蟲師最大の禁じ手.土に埋めれば周囲に一年限りの豊穣をもたらし,代償として恵みを受けた生命体の一つを奪って行く.ギンコ談「ナラズの実は生きている.使うごとに影響力は増して行く.やがては全ての均衡を崩すものともなりかねん」.光酒は 第一話「緑の座」 参照のこと.光脈筋に埋めると取り込まれて姿をなくす.再度ギンコ談「光脈自体を生物に流し込んでも蘇生まではできないが,ナラズの実を使えばそれも可能.ただ,植物との相違故,動物の場合は光脈は流し込まれた体内に宿り続け,その身体は生物を超えた不死の存在となる」.
瑞歯(みずは)
サネの話「凶作の年,秋に誰かの口中上口蓋に生える.秋の終わりには抜け落ちて,生えた人は死ぬ.その命は豊作をもたらしたご先祖さまへの供物.贄になるのは「弱い」ものから.死んだ人は火葬せず,土葬.歯は抜け落ちてから時間がたつと,歯は祭主以外には見えなくなる」.祭主「贄から抜け落ちた歯が変色するとナラズの実となる」.

珍しく avant がある.妻が遠からず「連れて行」かれることを祭主が知る重要なシーン.最終的なギンコの提案は懲罰を与えているようにしか思えんな.『字統』によると実 [實] は宗廟 + 貝貨を連ねたもので,入れ物にものを実たして供薦する意味,つまり「充実」や「鼎実」,「誠実」の意味が最初にあって,そこから「木の実」の意味が派生してきたそうで,これは意外.逆かと思ってた.ギンコは祭主にお前は誠実であったか,誠実であろうとするのか,と問うたのだろうか.祭主に従うサネ,漢字にすると実または核.根本を成すもの,主たるものという意味では真根.サネの手元には「重い実」自体は残らなかったのかも知れないが,「重い実」という観念は不死となった前祭主の姿となって否応なしに残っただろうな.瑞は「人の執りて見(まみ)ゆるを瑞といひ,神に禮するを器といふ」で礼見,形の整った呪的な玉の意味.本来はめでたいもの,美しいものだったのに.圧巻なのは「別」の字で,これは刀と骨.骨節のところを刀で分解するという意味.もしかしたら,人も「別」して喰らうほどのあまりに酷い凶作なので「別れ作」と称するのかも.などと考えてると暗くなってくるな〜.

不死となった祭主が新たな農法を伝えることや,生前の祭主があくまで土地にこだわったことからすると,定住による農耕の始まりと発展にまつわる伝説の発端……,う〜ん,これはちょっと無理か.

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