ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2006年1月9日月曜日

蟲師 #10 硯に棲む白

  • 蟲師 DVD 1a (台詞あり 15 秒) / 蟲師 OP CDS

「自分の愛でているものが異形のものだってこと,忘れたか」 © ギンコ.最初から異形のものでなくても,入れ込んでるうちに対象が異形のものに変容することだってあるかも知れない.異形のものに入れ込んでいる方が異形のものに成り果てることもあるだろう.対象が異形でもなんでもなくても,入れ込んでいる姿が異形のモノに変じることだってあるだろう.

二話連続放送の第一話.化野先生再登場.化野先生が出てくるだけで雰囲気変わるな.雨霰だけに雹々とした話.なんか火村と有栖のコンビみたいだ.「じゃぁ,一つ注文しても佳いかね.なんなら蟲入りでも構わねぇし」,「未練タラタラだな,お前」.でもコレって,『鍵姫物語 永久アリス輪舞曲』からの連想だろうな〜 (笑).

(字未詳だが読みは,くもはみ)
雲喰み(くもはみ)か. 1) 磨られることで再生して体内に入り,内から冷やす. 2) 入道雲のような姿をしていて,名の通り雲,つまり空気中の水や氷を喰い,雪や霰にして降らす.そのとき地上からは雲もないのにあられが降っているように見えるわけだ.だが自らは動けない風任せのもので,雲がない時期が続くと小さく萎み地上に降りてきて自らを凍らせて仮死とする.

気圧の低いところでは身体に入り込んだ雲喰みも抜けるというギンコの説明は佳く判らんかったが,山頂付近で三人の子どもたちの口や耳から雲喰みが朦々と抜けるさまや,海辺で たがね が雲喰みを抜くさまは壮観.ピンク色の煙がモクモクと立つ.

硯の元々の意味は「石の滑らかなるもの」.研磨の「研」と同じ意味だが,硯は硯墨専用の文字となったそうである.「石」を「見る」と書くが「見」は音符で原義とは無関係 (『漢字源』).といいつつ「見」は跪いて視ることで,対手に向かって霊的な交渉を持つこと (『字統』).雲喰みを仕込んだ硯を作ってしまったのは,蟲を視る / 視てしまう力を持った硯匠の たがね.漢字にすると鏨・鑽だが,これは日本語では金工用の鑿のこと (『岩波国語辞典』).元の意味では石工もあった.

それより面白いのは,硯に棲む「白」.魂魄の「魄」が従うところで,その頭顱が白骨化したもの,髑髏が「白」の象形である.起原は明らかに呪術的.人の屍を架して,これを撃つ呪儀を「放」というそうだが,これに頭顱を加えた形を甤(きょう)という (『字統』).

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