ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2005年3月27日日曜日

御先祖様万々歳! #6 胡蝶之夢

「近未来からやってきた孫娘を名乗る女詐欺師だ? 虚構ってもなぁ,もちっと現実味のある設定から出発するもんだ.物語を舐めんじゃねぇ!」 © 立食い蕎麦屋「元祖 親不知そば」店主.

物語を転がす主因である動機そのものが排除されたあとの物語がどうなるかといえば,なんとか着地点を探そうと四苦八苦,迷走することになる.ここでは出ずっぱりで一応主人公的な役割りを担わされていた犬丸が指名され,あくまで麿子を求める犬丸の姿を仮定し,前口上も OP もない一世一代の大芝居を打っているのだ.永井一郎さんとの掛け合いも含んでいるが,実質的に古川登志夫さんの長大なソロである.

だからして音楽的な結末というか,シンプルながらも実に多彩な表情を見せてくれる絵とウェットな川井憲次さんの音楽を活かすために作られたんじゃないかと思わせる 30 分なのである.『ケルベロス』でも見られたが眼球の動きに注目.犬丸の鼻先にとまっていて眼球の動きが止まったときに飛び立つ黄色い蝶は終わりを確認しているわけだ.

犬丸のソロ曲『立食いの歌』が披露される.まさに往年のフォークでイマイチだが可笑しい.靴を脱いだり履いたりしてるが (笑),絵もエエ感じだ.この絵は一箇所多々羅伴内とのデュオで多美子さんのオフ・マイクのタイミングが速すぎるのを除けば,音とピタリと合っているんだよな.最近はあまり音と合った絵を見た覚えがないぞ.でもやっぱここでの主役は川井憲次さんの音楽,飛行船のテーマ曲だな.終わりの五分弱をがっちり支えているのはこの曲.大名曲だと思う.

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