ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年10月20日水曜日

ファンタジックチルドレン #03 行きたい場所

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「魂が再び故郷を持ち,まどろみと夜と星が待っているところを」 © ヘッセ.

ある程度まとめて観てからメモることにしよう」とか書いてたヤツがいましたが (笑).いや,何,なんとなく話が動き出してきたし,なにより短期記憶容量が少ないので忘れてしまいそうなので.

こちらも 似たような話 になってきた.ただ,ヘルガは「塔に幽閉された姫君」というより巫女または道標という感じだが.単なる道標にしては重点的な扱いをされているので,今後さらに大きな存在になるだろうとは思うけど.ヘルガやチットと同じ列車に同乗していた「ベフォールの子どもたち」は, 2012 年の話ではまだ表舞台には出てこない.視聴者にはちょこちょこちょっかい出してくるけど.

この物語における「東南諸島」って, Akaba 海を囲んで位置している島々のことらしいんだけど,架空の存在でエエのかね.勝手にメラネシアか西インド諸島の東南にある小アンティル諸島あたりかなと思い込んでいたけど,探しても出てこない.ちなみに,韓国では「東南諸島」というと,鬱陵島+松竹島+于山島の辺りを指すらしい.済州島+近傍の小島を含むのかどうかは判らん. 半月城通信 No.94.「日本の侵略」という言葉も出てきていたり,領土問題でキナ臭い名称のようだ. Akaba もヨルダン南端の港町の名前で,紅海北端のアカバ湾の奥にある.ここは,ヨルダン,エジプト,サウジアラビア,イスラエル四ヶ国の国境が集中している場所.領土や国境と来れば紛争を思うのは短絡的かも知れないが,今回の話は暴力が充満していて,観ていて非常に重苦しい.絵を粉々に破り捨てる施設長,ピン (釘?) で怪我して流される血.それだけでは済まない.

ヘルガとチットの逃避行はあえなく潰えて,連れ戻される.たいした理由もなくチットを殴りつける施設の係官,しかも 2 回も描写がある.施設長の言葉の暴力と虐待.ヘルガの目の前で破り捨てられるヘルガが描いた絵.ディケンズみたいな匂いがするな.おれは体罰肯定派だけど,大人による子どもへの暴力は否定する.それはヒトとしてやってはいけないことだろうが.とくに陰湿なのは最悪だ.

チットは別の施設に移送されることになったが,その際猛スピードで突っ込んできた脱走犯 (男女数名) のボートを回避し損ねて難破炎上,その隙に逃げ出したチットは様子を見にきたトーマの船にたどり着いて救出される.ただし,ヘルガはチットが無事であることを知らされていない.父親が午後 10 時きっかりに勤行に出た隙に,トーマはチットを連れてチカオに向かう.破り捨てられた絵を拾い集め,泣き疲れて眠っている (?) ヘルガのショットで次回へ.

OP を見るとあと三人ほど重要人物がいるようだが,月が二つあるって,これも火星からどうこうして地球に云々という話なのか.あれ,舞台は地球でエエんだよな (笑).

序盤でハスモダイが朗読するのはヘッセの『どこかに*1』の高橋健二訳.ベルトルト・フンメルが曲を付けた 歌曲 もあるらしいが未聴っていうか,そんなんがあるって探して初めて知った.しかし,「イルゲンドヴォー」ってカタカナで書くと凄い語感だな.ああ,んなこたぁど〜でもエエよ,そりゃ.彼らの目的は「絶対帰ってみせる.そのためにもティナを探すんだ」 © タルラント.彼らは科学否定論者なのか.ティナって誰だ,いや,それ以前にいったい「何」だ? ED に出てくる Christina には関係ないのか.と,思ったら, Christina の没後 100 年後に Serafine が,Serafine の没後 100 年後に Helga が生まれているのな.画神は 100 年間休息するのか.そういや Serafine のときには彼らはニアミスしてるけど,その後の 111 年間はどうしてたんだろ?

6 年前の 2006 年に失踪したイアンという少年を追っている州警察のクックス刑事.その年には少年の失踪が相次いで起こっており,みな 5 歳で行方不明になっているそうだ.母親に「ベフォールの子どもたち」の写真を見せるクックス刑事. 100 年前に撮影されたそれに写っているアギがイアンに瓜二つ.「家族との時間を一時も無駄にしたくないと思い込んでいるような」イアン.妹のベルによると,イアンが姿を消したときには同じような年格好の少年たちがいたらしい.間違いなく彼らはみな銀白髪だったのだろう.

あちら が新古典的テーマを持ったロマン派劇だとすると,こちらは今のところ近代劇だな.スケールはこちらの方が古典っぽいけどね.いやぁ,こちらも面白くなってきた.

*1: ヘッセ『どこかに』,原詩

Hermann Hesse "Irgendwo"

Durch des Lebens Wüste irr ich glühend Und erstöhne unter meiner Last, Aber irgendwo, vergessen fast, Weiß ich schattige Gärten, kühl und blühend.

Aber irgendwo in Traumesferne Weiß ich warten eine Ruhestatt, Wo die Seele wieder Heimat hat, Weiß ich Schlummer warten, Nacht und Sterne.

人生の砂漠を私は焼けながらさまよう. そして自分の重荷の下でうめく. だが,どこかに,ほとんど忘れられて花咲く 涼しい日かげの庭のあるのを私は知っている.

だが,どこか,夢のように遠いところに, いこいの場が待っているのを私は知っている. 魂が再び故郷を持ち, まどろみと夜と星が待っているところを.

[ Hermann Hesse: Ausgewählte Gedichte I より ]

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