ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年10月20日水曜日

月詠 -Moon Phase- #03 おにいさま、私といっしょに暮らしてくださいね

  • 月詠 OP CDS / サムチャン DVD 2 / LE DVD 13
  • Madlax DVD 3 (エリノア版) / 新居昭乃『エデン』 / 詩片 OP, ED CDS
  • Gungrave OSTs, DVD 8

「耕平,人間以外の娘にはモテるのぉ」 © 御堂竜平.

フランクフルト・アム・マイン空港にルフトハンザだと.おや,ネスカフェ・ゴールドブレンドは出てこんのか (笑).葉月さん,遍在する邪眼鳥ですか,そりゃ (笑).

あれ,また OP の絵が一部変わってる.ウミガメ葉月の産卵だったのが,鍵穴卵,時計,鍵,巻貝,ヒトデその他のオブジェ群だ.毎回,どっか差し替えられるんかな? ご苦労さまなことだけどね.

前回のラストでも出てきてたけど,二階建家屋の断面図的舞台,舞台劇ならまだしもアニメでは珍しい構図*1なだけに,有効活用していただきたいところ.

へぇ,ヴァンパネラという制約も律儀に課しているんだ.こういうご時世だから超法規的措置によって陽光下でもダイジョブな存在に進化 (お話的には退化) してるんかと思った.

英国産 (?) ミニで母親に逢いに出かける途中,温泉が出てくるに至ってまたかとうんざりしたが,あっさり流してくれたんで好感度高し.んだべ,そんだらとこに要らん手間暇掛けるこたねぇべさってばよ.

葉月の目的というか意図は明らかになった.母親探し.二年前に別れた彼女は日本にいるらしい.何故かは問わん (笑).ちなみに,耕平にも似たような過去があった.こちらは 14 年前に母親が姿を消す.半年後に母親死亡の報せ.葉月に対する対抗ベクトルとしては,キンケル伯爵とエルフリーデ (Elfriede) の連合軍.伯爵は「ルナお嬢さま」と呼んでいたので,父親ではないらしいが,その延長であることは間違いない.ということは,その背後にまだ父性の壁が立ちはだかっているわけだ.葉月を母親のところに案内した猫がハイジだな.猫? また猫か!

かくの如く障害としての父性というフレーズにブチ当たってみれば,別の構図を連想するのも宜なるかなぶらあな.要するに「カーミラ」譚というのも意匠の一つに過ぎないということで,お話はラプンツェル譚に沿って進むらしい.第一話で露骨に描かれていたように,「塔に幽閉された姫君」の話である.そこから自力で抜け出すことができず,三番目の窓,すなわち王子の手によってのみ解放されることになるのではないか.確かにドイツの古城からは脱出できたが,対抗勢力が厳然として存在する以上は真に解放されたとは言い難い.これを克服することが主眼なのだろう.言い換えれば,彼女のエロティシズムがクリトリス系統から膣系統に移行する物語,ということだ.母親探しというのも,すでにクリトリス段階を脱した先達への道を辿ると看做せる.ちゃらちゃらした目眩ましの背後に古典的というか神話的というか,身も蓋もない言い方をすれば,そんなマリー・ボナパルト的な潜伏期間の物語が潜んでいるんじゃなかろうか.そうだとすれば,女になることを選んで共同体に回帰しようとする葉月に対して,隔離したまま,少女のままであることを強要する父親は反社会的という烙印を押されても仕方あるまいよ.まぁ,そういった反社会的反時代的夢想は,男という性の(さが)だろうがな.澁澤龍彦曰く「男の性欲の本質的なフェティシスト的,オナニスト的傾向」は「主体性を存在そのものに封じ込め,あらゆる言葉を奪い去り,一個の物体に近づかしめれば近づかしめるほど,リビドーが蒼白く燃え上がる」という生理的メカニズムで動いている.そういった無垢なる観念の純粋客体化,玩弄物化の行き着く果てが,例えば, 涼宮遙のフィギュア であったり, "Rozenmaiden" の真紅だったり雛苺だったりする訳だが (笑).

ここまではありきたりだが,もう一段仕掛けがあった.「あなたに大好きな人や愛する人ができたら,その人とだけは血の契約を結ばないようになさい」 © 清音さん.これはすなわち,救い手である王子さまを喰ってはいけません,ということであり,つまり,交わすより先に,すでに破られた約束であり,遅過ぎる警告というわけだ.常套手段だけれど,寓意劇に加えられたドラマになるか,予想以上に重い話になりかねない伏線である.絵にすると男根を喰らう女陰という強迫観念まみれなものになりそうだ.そんな風に考えて行くと,耕平がただの「鬼,悪魔,疣蛙,ガラガラ蛇,海鼠,海牛,百足,ザザ蟲,大蚊,蛞蝓,草履蟲,條蟲,鈍感星人」だとはとうてい思えない.なにか仕掛けがあるはずだ.というか,あって欲しい,お願いだから (笑).あ,鈍感「星人」って鈍感「聖人」かも知れん.まぁ,猫耳ジュリエットに鼠ロミオを配するのはマズいよな,絵的にも.つまりロミオになるにはそれなりの資格が必要ということだ.人間のままなら悲劇的,それを超えたら喜劇だ.どっちに転ぶかは耕平 (に与えられた設定) 次第.まぁ,ここ第三話まで観てきた人には言わずもがなだろうけど.

キーとなる人物が耕平だということにしてしまうと,葉月は身軽になる.陽動作戦担当で,耳目を集めるというか逸らすのが彼女の役割だ.また,対抗ベクトルの存在から,ルナもまた今後出てくるであろうことは自明の理.

ところで,葉月の母親清音さんの不在は葉月の動機だが,耕平の母親静流さんの非在はどういう意味なんだろうと考えていると,もう一本ラインがあるかも知れないということを思い付いた.つまり耕平が「眠れる森の美女」の代理としての王子さま役ではないかということだ.耕平もいまだエディプス・コンプレクスを抱いたまま 14 年間という長い潜伏期間にあるとしてみたらどうだろう*2.この場合,静流さんの非在は入眠への引き金ないしは紡錘竿の針に相当する「原因」である.そうなると,「塔に幽閉された姫君」が「眠れる森の王子さま」を待つ話になって,これではお話が全く進展しない.だからこそ,王子さまを目覚めさせることが葉月を身軽にした本当の目的ではないだろうか.この線に従って敷衍すると,葉月が父親に,耕平が母親に対するそれぞれのリビドー的固着を克服する話ということになり,葉月ラインの他に耕平側にも動的必然性が与えられて物語に奥行きが出る…… ことになるのかなぁ?

耕平の母親は静流さんという名.たぶん「しずる」だろう.葉月の母親は清音さん.こちらはなんと読むのか.「せいね」,「きよね」,「さやね」? とりあえずメモっとけ.今回の絵も綺麗だった.なんかいっぱい書いた割りにはありきたりなことしか書いてないけど,まぁエエか.ただ,書くのに時間が掛かるのが困りものだけどな.なんでこう,さっくり簡潔に書けんのかね.

挿入歌『波のトリコになるように』の作編曲は菊地成孔

何気なく しょぼ cal の月詠ページ みてたら第三話に挿入歌の記載があって,作編曲に「菊地成孔」とあって,あわてて ED 見直したら間違いなくそうでびっくり仰天.いやぁ,挿入曲があったのは気付いてたけど,今ひとつピンと来なかったんでチェックしてなかった.ひぇ〜,河野伸さんに 続いて か!  NieA_7 の ED (の作詞) 以来かな. Tipographica 同窓の今堀さんがガンガンやってるから,菊池御大もそろそろ.歌い手の小川範子という人は知らん.というか Noriko Ogawa っつったら,おれ的には こっちの人 (小川典子) だ.お勧めは コレ ね.いやぁ,まったくもって音楽の人選的には侮れんよ,これ.こうなったら ハラミドリさん も引っ張り出して,ガツンと一発やってくれ.オリジナル Spank Happy 再集合ぢゃ〜っ!

*1: 観た本数少ないから知らないだけだろうが.

*2: 劈頭に引用した御堂竜平さんの耕平評って,そういう意味なのではないかと.つまり,耕平はまだ寝ている,あるいは眠らされている.ううむ, ♪ In the jungle, the mighty jungle, The lion sleeps tonight ♩ がこんなに生臭い歌だったとは (笑).

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