ぐる式 (貳) より引っ越し作業中.未完.

2004年10月18日月曜日

劇場版『ラーゼフォン』多元変奏曲

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2003 年作品. TV シリーズ (2001 年) もあるそうだけど,未見. CM を観た記憶があるくらい. シアター松田オーナー兼師匠 から, TV シリーズ観てないと訳判んないぞと釘を刺されていたのにも関わらず,不肖の弟子は観てみるのであった (笑).神託の通りワケワカだったけど,これがけっこうおもろかったりする,というか,異様な迫力に 116 分引き摺り回されたという印象.観終わるとどっと疲れるけど.小中千昭さんや榎戸洋司さんの名前が見える脚本陣のクレジットからすると総集編らしいけど,「総集編を超えた映画」とか「まったく装いも新たな物語を獲得」とまで豪語するには,なにか『麿子』みたいな仕掛けが施してあるのかな.こっちだけ観てても判んないけど.絵もけっこう修正されてるだろうか.かなり気合い入ってますな. BONES 作品とは相性が佳いのかな. BONES ものって,感情移入しやすいように作って / 観せてくれるもんな.

高校生の恋物語かと思いきや,ラーゼフォンなる巨大なモノ.可動神像超兵器らしい.「東京ジュピター」なる木星の表面様のブラックホール的障壁は,遥か昔の小松左京の残響か.「世界の調律」って,マリー・シェーファーかよ,おめぇは (笑).そのせいか,なんか音楽用語が散乱していたような気がするが.タイム・シフトによる現在のポジションの違いだのデカもののバトルだの,豪快なケレンだが, BONES のかっちりとした絵が支えているので,観ていて引き込まれる.『棄てプリ』もそうだったけど,デカもの嫌い / 金物興味なしの視線を離させないというのは,やっぱ凄いと思う.まぁ, 2 時間ものだから可能なんであって, TV シリーズだとどうか判らんという説もあるけど.

中盤の朝比奈浩子のエピソード,彼女を護るために敵を倒す,その敵と合一していたのが彼女だったというシーケンスは,たぶん,ここまででいちばんの山場だと思うんだけど,電光掲示板や,街の灯りを使って文章を描く演出など,物凄い気迫が込められていて感動ものだよ,こりゃ.敵が合一しているのは彼女だということを主人公が知らない辺り,この辺はギリシア悲劇みたいな設定だけど,様式から外れてるので悲劇というよりむしろ悲愴だけどな.いや,同じようなのが今やってるけどさ.

エピローグの 60 年後の話でバカにでも判るように示されているけど, MU がムー大陸のことだとは想像すらしてませんでした.って,想像する暇もなかったけど (笑).世界の「調律」っつったらピタゴラス学派だし,ローマ時代っぽいタイトルや,そこに折り込まれている太陽神ラー (Ra - Rē) から,太古の話だとは思ったけど,まさかムーとはね.こりゃ,アトランティスにおけるハルトとアリナ (光瀬龍) をムーに持ってきて,時間的に分離させてみた話,なんだろうか.それを折り込んだ創世神話,国産みの物語,歴史の端緒の話だと見てるけどね.山田章博さんはキャラクター・デザインだけでなく,世界観の造形にも一役買ってるんじゃないのという気もするが,ま,エエや.

菅野よう子さんのペンで坂本真綾さんが歌う主題歌 "tune the rainbow" は,やはり名曲ですな.それはともかく,音楽は橋本一子さん担当で,これもまたお懐かしや.仙波清彦の「はにわ」以来かな.たぶんソロ・アルバムが家のどこかにあると思うけど.なんつ〜か,もっとキレが佳くて小回りの利いた音楽を書く人だと思っていたので,ここでの重いサウンドには意外感.やっぱ,プロは引出しの広さと深さが違うね.

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